黒猫の約束あるいは遡行未来 森晶麿

このシリーズやっぱり面白いなあ。
敷居が高い雰囲気はありますが、読み出したら止まらなくなるし、二つの物語が絡み合い、一つの物語に到達する。
なかなかいいミステリを読んだ。
あと、黒猫と付き人の話しをうまく書いていていい感じ。

黒猫の約束あるいは遡行未来

 

悪魔を憐れむ 西澤保彦

大満足のタックシリーズの短編集でした。
「無間呪縛」
ああ、懐かしくなるくらい、昔の西澤保彦の匠千暁シリーズの感覚になりました。
タックの一人称により展開していく物語と事件のあまりにも重くて気持ち悪い人間心理の真実。最近の西澤保彦にない胸糞悪さ。
さすが。
悪魔を憐れむ
まあ、やってること怖い怖い。自我を肥大化させすぎた人たち
ばかりの事件で、思いっきり胸糞悪い論理展開の果てにやっぱりラストは黒く重く、そして少しの因果応報。西澤保彦らしい作品です。
意匠の切断も、派手な事件からあまりにも怖い論理と人間の黒さ。
ラストは初期の妄想論理復活に懐かしくなりました。

悪魔を憐れむ

 

君の名は

書きたいことはたくさんあります。まず、オープニングから入れ替わりに気づくまで、そっから進む物語は楽しかった。

そして中盤に、この物語の根幹が明らかになり、ゾクゾクしました。

隕石落下により街がなくなり、みつはとたきは時間軸三年のズレがあること、みつはが髪を切った時に三年前にたきにあいにいった…その目印がたきに残っていた…伏線はちゃんと前半に貼られて中盤に開花する。

それからは、ドキドキしながら見てました。

歴史は改変され、東京で再び二人は出会う。

物語として、めっちゃ大好きな作品に出会えましたし、よく練られたSFラブストーリーでした。

傑作です。

河原町ルヴォワール 円居挽

どんでん返しの連続ではなかったがこの作品の全てが最後にデカイどんでん返しに繋がってる。
円居挽。今年一番好きになり、来年以降も追うと決めた作家の一人になりました。

特に、中盤何かに違和感があり、?が連続してきた中に最終章で全てを一気にひっくり返し、ふわふわしていた地平は強固な地面になりました。

結構、驚きと、納得で久々にふるえました。

何を書いてもネタバレになりそうですが、シリーズ完結にふさわしいラストで、なおかつほのめかし現れていたラブストーリーにもけりがついて、いい感じ。

河原町ルヴォワール (講談社文庫)

 

アンデットガールマーダーファルス2 青崎有吾

純粋にワクワクする読み物として面白かった。
ホームズ、ルパンなどの知能と論理の一幕と人外たちの戦闘っていう一冊で物語の様相を変えるまさにファルスにふさわしい作品です。

もう本格ミステリとかの枠とかそんなことすら、気にしてられないくらい面白かった。
前半はホームズとルパンに怪物一行による古式ゆかしい怪盗もので、それがミステリものとしてワクワクしちゃいます。
ミステリの面白さを短い中にいろいろぶち込み、ミステリ初心者の感覚に戻れました。

後半は、教授一味も乱入し、血湧き肉躍るような戦闘があらゆる方向で繰り広げられる。
視点ごとに攻守入れ替えなんて当たり前。ぐちゃぐちゃに入り乱れる。

今年読んだ作品の中で一番面白い、エンタメでした。

そして青崎有吾の平成のクイーンとはまた違う一面が現れました。

絶賛です。次のこのシリーズも館シリーズも楽しみです。

ただ、西尾維新のようにミステリから離れないでほしいです。

アンデッドガール・マーダーファルス 2 (講談社タイガ)

 

星読島に星は流れた 久住四季

久住四季久々の作品ですが、大仕掛けで、さすが久住四季ですね。
読みものとして、窮屈な雰囲気の小説ではなく、ロジックに絡み取られることもなく、飄々とした作品ですね。

トリックスターズシリーズから読んでいるから、この人の飄々とした語り口から大仕掛けをさらっとだしてるし、島の秘密やなぜ、開かれるのかなどそれを解いて美しいミステリですね。

出来たらトリックスターズシリーズをまた読みたいですね。

星読島に星は流れた (ミステリ・フロンティア)