赤い博物館 大山誠一郎

これは良かった。本格ミステリーとしては短編集なんで一作ごとは短いです。しかし短いながらに本格ミステリーの面白さが描かれている。さすがです。

ミステリーとして、やっぱりベストは「復讐日記」ですね。
事件をまずは日記で描き、そこから再捜査して事件の見方をひっくり返す。
短い中でそれをやるのはさすがです。
他の作品も本格ミステリーという面白さを体験出来るいい作品集でした。

赤い博物館


海妖丸事件 岡田秀文

明治ミステリーの三作目ですが、良かったですね。 客船で起こる数々の事件っていう定番なんですが、明治という雰囲気を味わえるし、ミステリーとしては普通かなあって思えた。しかし、犯人の隠し方終盤にいたり評価は急上昇。



ネタバレあり

犯人が一度堂々と船を降り、警察として再び乗り込み堂々と刑事として行動しながら事件を起こす。
目の前で、堂々とさらしながら悟らせないのは素直に感嘆します。
このシリーズは一作一作ミステリーの面白さを味わえるいいシリーズですね。

海妖丸事件


回想のぬいぐるみ警部 西澤保彦

うまいなあ西澤保彦は。
そんないわゆる今の西澤保彦ミステリーって言われたらこの作品を上げるかなと思える作品です。
しつこくジェンダーも、精神の闇も触れずキャラたちの面白さと事件の展開、真相というシンプルであり事件に関わる部分の重さは西澤保彦らしく、しかしギトギトじゃない。
まあ、この分量ならこさらっとがいいですね。

回想のぬいぐるみ警部


惑星カロン 初野晴

ハルチカシリーズ第5弾。
このシリーズは青春の甘酸っぱさと音楽に向かうものたちの熱さ、そして初野晴特有のロマンがうまく絡み合っていますね。
今作も、短編四作ですが、どれもそういうことがおりこまれたいい作品たちでした。
やっぱりベストは最後の表題作なんですが、しかしこの一連の作品の中に語られたものに答えをだしていてそれもまたいい。

惑星カロン


図書館戦争 THE LAST MISSION

ネタバレありです。






見てきました。
2回目です。
2回目ですが、前回見たときと同様いろんな場面でぐっと来ました。
中盤の査問終わりで、タスクに迎えられる郁とか中盤以降の戦闘ではタスクが追い詰められていく感がじわじわ迫って来て、本が無惨に乱射され、玄田隊長の打たれる場面はぐっと来てしまいました。

堂上と郁が逃走し初めてから、市街地を逃げるところから、郁が打たれたり、殴られたりして堂上が怒りでってのはある意味ニヤニヤですし、堂上が撃たれて郁がキスするまでの流れもぐっと来ちゃいましたね。

あと、ニヤニヤ出来る場面もたくさんありました。堂上の親父のお好み焼きのくだりとか堂上と郁のラストの一連の会話はもちろん、手塚と柴崎のやりとりや、戦闘中盤での小牧の言葉と手塚の答えとか。

図書館戦争のもう一つのラブという側面のちらっとしたアプローチかな。

とにかく原作ファンでも満足出来る作品だと思います。

出来たら続編、それと別冊も映像化してほしいなあ。